舞台朗読では必須!一瞬で気持ちを変化させるための練習法

こんにちは。
声と体で小説の世界を
生き生きと表現する舞台朗読研究所
S-R Labo 松井みどりです。

今回は
「一瞬で気持ちを変化させるための練習法」
についてお話します。

一瞬で気持ちを変化させることがなぜ大切なのか?

舞台朗読をしていると、
ふたり以上の人物が会話している
といったシーンを読むことがあります。

舞台朗読は基本的にひとりで行いますので、
いろいろな感情を瞬時に切り替えて
表現できる
ということは、
とても大切なスキルです。

もちろん聴き手は朗読の約束事を
十分理解して聴いてくれますが、
やはり適切な感情表現ができている
物語を理解しやすくなります。

また地の文で様々な状況を説明する時、
全くテイストの違う表現
必要となることがあります。

そういう時に前のシーンを引きずらず、
パンッと気持ちを切り替えて
全く違う表現をすることが大切です。

そういう時にも
気持ちを一瞬で切り替えるスキル
必要になるのです。

人物を切り替えるタイミング

物語には流れがあります。
普通の芝居の場合はひとりひと役なので、
最初から最後までその人物として
生きていれば、問題ありません。

では舞台朗読の場合は
どう考えたらいいのでしょう?

わかりやすいように
セリフのやり取りの場合について
考えてみましょう。

私の場合、その瞬間
全力でその人物として考え、
セリフを言いますが、

同時に神様のような視点
そのシーンを俯瞰して見ている、
という感覚も忘れないようにします。

そうじゃないと、
気持ちを切り替えるタイミング
遅れてしまうからです。

体より気持ちが先に動く

このような文章を例にして
お話します。

①A「おい、そのやり方じゃダメだぞ」
②B「どうしてだ?言われた通りにやっている」
③A「だからダメなんだ」
④B「どういうことだ」
⑤A「状況をよく見ろってことだよ」

舞台朗読では会話を
体を上下(かみしも)に振ることで
表現します。

詳しくはこちらの記事を
ご覧ください。

①でAは上手に向かって
Bに言ったとします。

セリフを言い終わったら、
そのAの体勢のまま
気持ちだけBに変化
させます。

具体的には体は上手に向けたまま
「ダメだぞ」という声に反応して
間をあけずに息を吸いながら
下手を意識
します。

ここでは完全に下手を向く
必要はなく「何?」と
Aに反応するだけでOKです。
AからBへの切り替えのタイミングです。

次に体を下手に向けながら
完全にBとして
②のセリフを言います。

②のセリフが終わったら
それに反応してゆっくり息を吸い、
上手を見ます。

ここがBからAに切り替わるポイントです。

動きの力も借りて
「馬鹿だなぁお前」という気持ちで
③のセリフを上手へ言います。

ダメ出しされたことにカチンと来て
Aの体のままパッと息を吸い、
Bの気持ちで④のセリフを言います。
ここのAからBへの切り替わりは速いです。

そのセリフに対し、
Aはまたゆっくり息を吸っているうちに
BからAへと切り替わり、
⑤のセリフをAとして言います。

このように体を向ける前に
息を吸いながら気持ちが先に
入れ替わります。

一瞬で気持ちを切り替える練習法

説明したように、
舞台朗読では息を吸いながら
次の人の体に変わります。

ということは、
息を吸いながら一瞬で
気持ちを他の人物に切り替える

必要があります。

そのための練習法
ご紹介します。

多重人格読み

「多重人格読み」…と聞くと
どんなすごい読みなんだと
思う方もいらっしゃるかもしれませんが、
内容は意外と簡単です。

まずどんなものでもいいので、
何か文章を用意してください。

最初は口語文がやりやすいので、
自分の良く知っている内容や
興味がある話の
ニュース原稿が良いでしょう。

NHK NEWS WEB|NHKのニュースサイト
NHKのニュースサイト「NHK NEWS WEB」。国内外の取材網を生かし、さまざまな分野のニュースをいち早く、正確にお伝えします。ニュース速報はもちろん、現場の記者が執筆した読み応えのある特集記事や、NHKならではの豊富な動画コンテンツも...

そうしたら、その文章を
1行ごとに違う気持ちで読みます。

①嬉しい
②悲しい
③怒り

最初はこの3種類の気持ち
順に繰り返して読んでください。

1行目を嬉しい気持ちで、
2行目を悲しい気持ちで、
3行目を怒りの気持ちで、
4行目を嬉しい気持ちで…

という繰り返しです。

読んでいる内容は
無視してください。

内容ではなく、
感情が伝わればOKです。

体を使える方は
嬉しい時に飛び上がったり、
怒りの時に何かを叩いたり…と
ぜひ体を使ってみてください。

客観的に確認することが大切

そしてそれを動画に撮影
音声録音でも構いません)
ご自分で確認してみてください。

どのくらいの大きさで表現すると
どのくらいお客さまに伝わるか
確かめましょう。

ほとんどの方は、
自分が思っているほど
変化がついていないはずです。

感情が一瞬で変化しているのが
十分にわかるまでやってみてください。

ほんとうに多重人格になったように
見えたら最高です。

とても疲れますが、
そのくらいのパワーを使わないと
お客さまには変化が伝わりません。

とてもいい練習ですので、
ぜひチャレンジしてみてください。

まとめ

今回は
「気持ちを一瞬で変えるための練習法」
についてお話ししました。

この練習は本当に疲れるのですが、
効果は絶大です。

朗読とはあまり感情を表さず
淡々と読むものだ…というイメージが
知らないうちに刷り込まれている
こともあります。

ぜひこのような練習をして
あなたの読みを揺らし、
舞台朗読を気持ちの伝わるものに
してくださいね。

S-R Labo主宰
松井 みどり

元フジテレビアナウンサー。退社後はナレーターとして活動する一方、舞台活動もスタートし、芝居、朗読、朗読劇などの舞台に年に10本ほど参加。2014年より教える仕事も続けている。

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