こんにちは。
声と体で小説の世界を
生き生きと表現する舞台朗読研究所
S-R Labo 松井みどりです。
今回は
「いろいろな朗読劇と、
参加する時のポイント」
についてお話します。
朗読劇とは?
朗読劇って、何でしょう?
これが、お芝居と同じように
幅広いんです!
要するに、いろいろなやり方がある、
ということです。
一般的には
「本を持って、書かれている文章を
読みながら行う演劇」
ということになります。
「朗読」とついているので
朗読の一部でもあり、
「劇」とついているので
芝居や演劇の一部でもあり…
ということで、
特に初めて参加する方は
いろいろ悩むことも多いと
思います。
まずは、朗読劇には
どんな種類があるのかを、
実際に私が観たことが
あるものについてまとめます。
いろいろな朗読劇
朗読劇を種類別に
きっちり分けるのは
とても難しいです。
なぜなら、いろいろな要素を
どれくらい取り入れるかによって
その舞台の色合いが
変わってくるからです。
ここでは、具体的に
どういう朗読劇かを理解する時、
どこを見たらいいかをお伝えします。
出はけがあるか、ないか
「出はけ」というのは、
出演者が出たり入ったり、
という動きをすることです。
全員が椅子などに座って
ずっと舞台の上にいる中で、
セリフのある人が読む、
というスタイルもありますし、
自分の出番が来たら
舞台に上がってセリフを言う、
という場合もあります。
主に、短い作品の時は前者、
長い作品の時は後者になることが
多いようです。
動きながら読むか、読まないか
朗読劇の中には、
出演者が止まったまま読む場合と、
動きながら読む場合があります。
止まったまま読む場合には、
その場で読む、
立ち上がって読む、
マイク前まで移動して読む、
などのパターンがあります。
動きながら読む場合は、
出演者がセリフを言いながら
動くので、一般的には
芝居に近いものになります。
動くにしても、
リアルに芝居をするのか、
抽象的な動きで世界観を表すのか、
など、こちらもいろいろです。
マイクを使うか、使わないか
マイクを使うかどうかも
ポイントのひとつです。
マイクを使わない場合は、
比較的小さな会場で
地声で聞こえる時です。
マイクを使う場合は、
漫才の時に真ん中に立っている
スタンドマイクというものを使い、
その前まで行って読む場合と、
ピンマイクという
洋服につける小さなマイクや、
バウンダリーマイクという
床に置いて音を拾うマイクを使う
場合があります。
スタンドマイクの場合は
マイクの前でしゃべらないと
音を拾ってくれませんが、
ピンマイクやバウンダリーマイクを
使って行う場合は、
出演者はマイクをあまり
気にする必要はありません。
朗読の延長か、芝居の延長か
ひとつの大きなポイントとして、
朗読よりか、芝居よりか、
ということがあります。
朗読よりの場合は、
音の響きや言葉のひとつひとつを
聴き手に正確に届ける、
ということがメインになるので、
言葉をはっきり伝える、
ということが
とても大切になります。
リアルな間や、他の出演者との
やり取りよりも、
セリフの内容を正しく伝える
ことに重きが置かれます。
またナレーションとして、
地の文を読む人がいることもあります。
芝居よりの場合は、
出演者同士の関係性や
作品の世界観を伝えることが
とても重要になります。
言葉はもちろん大切なのですが、
それ以上に、話す時の
リアルな呼吸や間を使って、
読んでいるけれども、
なるべく自然な会話になるように
作っていきます。
一般的には、指導者や演出家が
朗読出身の場合は前者、
芝居出身の場合は後者になることが
多いです。
参加する時のポイント
それでは次に、
実際に参加する時のポイント
についてお話します。
朗読は基本的には
ひとりで演じますが、
朗読劇は複数の出演者と
一緒に行うものです。
ご自分で演出や主催する場合は
自分の思うように
決めることができますが、
他の団体や、
初めての人と一緒に行う時は、
知っておいた方がいいことが
いくつかあります。
私が実際に経験した中で、
大切だと思うことをお話します。
まずは全体の表現方法を知る
例えば朗読教室の発表会で
朗読劇を行う、といった場合は、
普段の稽古の延長ですから
戸惑いは少ないと思います。
しかし初めての団体に参加する時には、
上に書いたような、
どんなタイプの朗読劇なのか、
最初からはわからないことが多いです。
ですからまず、
「今回の作品はどんな風に
作っていくのだろう」
ということをつかむことが
必要です。
特に大切なのは、
最後にご紹介した
「朗読よりなのか、
芝居よりなのか」
という点です。
それによって表現が
大きく変わってくるからです。
顔合わせで本読みをすると、
大体のことがわかってきます。
出演者がリアルな間で
他の出演者に向かって
セリフを言っている場合は、
お芝居よりの場合が多いです。
また、文章を美しく、
しっかり読む方が多い場合は、
朗読よりのことが多いです。
それぞれに対する
演出家、指導者のコメントを
注意して聞きましょう。
その時にはっきりとわからなくても、
朗読より、芝居よりの
どちらを求めているのかを
なるべく早く知ることが大切です。
朗読よりの場合
言葉自体を大切にして
伝えることを求められる場合は、
とにかく丁寧に伝えることを
意識しましょう。
具体的には、
「急がないで、ゆっくり読んで」
「言葉が聞こえない」
「ここを強調して読んで」
「ここで間を取って」
といった注意を
受けることが多いです。
腹式呼吸でしっかり声を出し、
美しい言葉の響きを作りましょう。
一音がはっきり聞き取れる、
という滑舌の良さも
ポイントになります。
この場合は、特に演出家という
ポジションの人がいるわけではなく、
教室や団体の先生が指導する、
という場合が多いです。
また、そのようなことは
すでにできている出演者が集まり、
より芝居的な要素を取り入れた舞台も
多くあります。
芝居よりの場合
こちらの場合は、
俳優や、俳優を目指す方が
集まることが多いです。
演出も演出家が行い、
普通の芝居のように
稽古は進みます。
具体的には、
「相手のためにセリフを言って」
「もっとよく聞いて」
「シーンの意味を考えて」
「セリフは結果だから」
など、セリフの言い方ではなく、
感情面に対して指示を受ける
ことが多いです。
演出家と呼ばれる人がいて、
全体の構成や表現方法は
この人が考えます。
出演者は、その設計図に沿って
表現をしていきます。
いろいろな表現を試してみる
どんな表現方法かがわかったら、
その中で、自分はどんな表現が
できるのかを試します。
演出家や指導者の意を酌んで、
共演者と一緒に
いろいろな表現を試してみましょう。
最初から稽古で
完璧な表現を目指す必要は
ありません。
周りをよく見て、
常に工夫をしながら、
意図を持ってセリフを言いましょう。
「もうちょっと違う方向で」
と言われたら、
別の方法を試せばいいのです。
その過程が稽古なのだと
思います。
朗読は基本的には
自分ひとりで全てを決めますが、
朗読劇には共演者や
演出家、指導者がいます。
少し大きな舞台の場合は、
音響さん、照明さん、
受付スタッフなど、
多くのスタッフさんたちもいます。
そういう方たち全員と
一緒になって面白い舞台を作る、
という気持ちで臨めば、
いろいろな意味で、
またとない成長のチャンスを
もらえるはずです。
まとめ
今回は
「いろいろな朗読劇と、
参加する時のポイント」
についてお話しました。
説明する上で、わかりやすく
「朗読より」「芝居より」
と分けましたが、
実際にはそのふたつが
いろいろな割合で
混じり合っていることが
多いです。
同じ「朗読より」でも、
表現の仕方が
違うこともあるのです。
創作の現場は、
それぞれに個性があります。
「どこへ行っても私は私!」
という考えも
もちろんあるでしょう。
でも、演出や指導者の意図に沿った
表現ができる、ということは
あなたの表現の幅が広がることに
つながります。
朗読劇は、
みんなで協力して
ひとつの作品を作り上げるという
楽しさを経験できますし、
参加することが
あなた自身のブラッシュアップにも
つながります。
まだやったことがないという方は、
思い切って、
ぜひ参加してみましょう!
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