ドキドキする場面を劇的に!緊迫感のある場面の読み方

こんにちは。
声と体で小説の世界を
生き生きと表現する舞台朗読研究所
S-R Labo 松井みどりです。

今回は
「緊迫感のある場面の読み方」
についてお伝えします。

緊迫感を伝えるために大切なこと

物語の中で
大きく場面が動いたり、
思いもよらないことが起こったりする

場面があります。

そういうところで
そこまでと違った
緊迫感のある読み方ができると、
物語を劇的に伝えることができます。

ではそのためには、
どんなことに気をつければ
良いのでしょう?

読むスピード

こういうシーンでは、
少し読むスピードが
速くなることが多いです。

でも、ものすごく速く
読む必要はありません。

やはり速すぎると
聞こえづらくなってしまいます。

イメージとしては
ドキドキしている自分を
落ち着かせながら読む
感じです。

リアルに読み手がドキドキしていると
冷静になろうとしているのが
聴き手に伝わる
ので、
臨場感が増します。

音の高低の差

緊迫感のあるシーンでは
音の高低の差を
大きくつける
ことも
効果的です。

低く読んでおいて
ポンと音を上げたり、
その逆も有効です。

ずっと同じ高さ、
特に高い音が続き過ぎないよう、
工夫しましょう。

音の大きさ

このようなシーンでは
声の大きさが
大きくなります。

いろいろなことが起こって
読み手の感情が
大きく動いている
ので、
それが声にも現れます。

無理して大きく出そう、
とする必要はないですが、
小さいままでは
伝わりづらいことが多いです。

音の高さの時にも言いましたが、
音がずっと大きい、
という状況にならないように

してください。

本当に強調したいところを
立てるために、
音をあえて抑える部分を作る
ことも大切です。

間の取り方

一番大切なのが、
間の取り方です。

こういうシーンでは
息遣いが速くなるので、
他のシーンに比べると
間が短くなります。

畳みかけるように
間をつめて読んでおくと、
その後の長めの間が
とても有効です。

具体例で解説

それでは、具体例を出して
ご説明します。

その途端でございます。
今まで何ともなかった蜘蛛の糸が
急に犍陀多のぶら下がっている所から、
ぷつりと音を立てて断れました。
ですから犍陀多もたまりません。
あっと云う間もなく風を切って、
独楽のようにくるくるまわりながら、
見る見る中に暗の底へ、
まっさかさまに落ちてしまいました。

後にはただ極楽の蜘蛛の糸が、
きらきらと細く光りながら、
月も星もない空の中途に、
短く垂れているばかりでございます。

芥川龍之介「蜘蛛の糸」より

これは皆さんご存じの
「蜘蛛の糸」の
クライマックスシーン
です。

ここを緊迫感を持って
読んでみましょう。

まず「その途端でございます」
自分の驚きを入れて、
音を上げて読んでみましょう。

次の文章は「急に」「ぷつりと」
の音を高く。
その状況を目の当たりにして
読み手もドキドキしてください。

「ですから犍陀多もたまりません」
つなぎの文章になりますから、
グッと音を下げて読んでみてください。

「あっと云う間もなく」
「独楽のように」
ポンと一番高い音に飛んで
読んでみましょう。

そこからちょっと低い音で
「見る見る中に暗の底へ」を読み、
さらに低い音で「まっさかさまに
落ちてしまいました」
を読みます。

皆さんは上空に漂っていて、
切れた糸と一緒に犍陀多が
叫びながら落ちていくところを
上から見ています。

犍陀多が落ちていくのと同時に
音もどんどん落ちていきます。

ここまではあまり
文章と文章の間を取らずに
一気に読んでみましょう。

落ちていく犍陀多を見ながら、
読み手のテンションも上がります。

そして犍陀多が暗闇の底に沈み、
すっかり姿が見えなくなるまで
消えていく犍陀多をイメージし、
十分に間を取りましょう。

犍陀多がすっかり
見えなくなったら
ゆっくり息を吸って、

「後にはただ~」と、
その後の4行を低い音で
ゆっくり読み始めます。

ここまでをテンポよく、
間をつめて読むことができると、
ここで取る間とゆっくりのペース
とても有効で、

場面を動から静へ
うまく転換できるはずです。

あなた自身も今度は
蜘蛛の糸の切れ端を見上げる
イメージで読んでみてください。

まとめ

今回は
「緊迫感のある場面の読み方」
についてお伝えしました。

どうでしょう?
「蜘蛛の糸」のクライマックスを
臨場感を持って読めましたか?

いろいろ考えることがあって
最初は大変ですが、慣れてくると
そういう気持ちを持つだけで、

細かいことを考えなくても
同じように読むことができます。

読みながら
自分もドキドキするように、
臨場感のある読み
チャレンジしてみてください。

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S-R Labo主宰
松井 みどり

元フジテレビアナウンサー。退社後はナレーターとして活動する一方、舞台活動もスタートし、芝居、朗読、朗読劇などの舞台に年に10本ほど参加。2014年より教える仕事も続けている。

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