こんにちは。
声と体で小説の世界を
生き生きと表現する舞台朗読研究所
S-R Labo 松井みどりです。
今回は
「自分とは違うキャラクターを読む!
意地悪な人編」についてお話します。
感情移入できない役についての考え方
いろいろな物語を読んでいると、
自分とは全く違うキャラクターを
演じる必要が出てきます。
もちろん朗読ですから
お芝居のようにその役だけを
演じるわけではありません。
しかしそういう人物なんだと
いうことを聴き手に
イメージしてもらえるように
演じること、読むことは必要です。
本当にそういう人間だと思われたら
嫌だなぁ…
自分との接点がなさ過ぎて
感情移入できないわ…
こんな風に思った時に
どうすればいいのかを
お話します。
「意地悪な人」の演じ方
まずは意地悪な人の
イメージを明確にしましょう。
その物語によって
どういう風に意地悪なのかは
様々だと思います。
だいたいこんなところでしょうか。
・特定の人につらくあたる
・人が困ることが楽しい
・自分より上の人を認めない
・自分がされた意地悪を誰かに返したい
どんな人間でもそうですが、
表に出ている性格を手に入れた
理由があります。
そこを考えていくと、
意地悪な人に感情移入することが
できるかもしれません。
その上で、どんな風にしたら
そう見えるのか、
まずは体の使い方から
考えていきましょう。
上から見下ろして話す
意地悪な人だけではなく、
高圧的な人は
だいたい上から見下ろして
話しています。
仕事場で、自分より仕事ができる
後輩に意地悪をするお局様、
などという役は基本的には
少し姿勢を良くして相手を見下ろします。
見下ろして話すと、
怒りや不満をぶつけやすいです。
上目遣いに下から見上げる
前述とは逆になりますが、
上目遣いも有効です。
こちらは人に何かを言うのではなく
自分の心の中で
意地悪なことを思う時に
効果的です。
この時、少し猫背になり
顔を下に向けながら
「ふふふ…」と笑ってみると
この上なく意地悪に見えます。
相手に向かって話す時は
姿勢を良くして見下ろして話し、
自分の心の中の言葉は猫背で上目遣い、
という切り分けも有効です。
意地悪することを楽しむ
これは精神的なことですが、
意地悪している時は、
その状況を実際に楽しんでいる人が多いです。
ですから意地悪を言っている役や自分を
その瞬間だけ思い切り
楽しんでみることはおススメです。
もちろん朗読の場合は
すぐに意地悪されている相手に
切り替わることがあるので、
意地悪だけを引きずることはできません。
ですから切り替えは大事ですが、
気持ちとしては
真剣に意地悪することを楽しむ
ことが重要なのです。
私が実際に経験した例
意地悪することを楽しむ、
ということについて
全く感情移入できない方も
多いと思います。
別に自分が良い人間だということではなく、
物語に出てくるほどわかりやすく
悪い人ではない、ということでしょうか。
しかしそういう役が出てくるのなら、
自分の中にそういう気持ちを
持っておくことはとても大切です。
これは朗読ではなく朗読劇ですが、
以前私が意地悪なおばさんを
演じた時のお話を参考までにお伝えします。
母が事故死、父が海外出張で
日本に残された姉妹を引き取る
父の兄の連れ合い、というのが
私の役どころ。
このおばさん、驚くほど
姉妹につらくあたります。
私には全く感情移入できません。
このおばさんは自分より
弱いものを攻撃し、
困らせることが楽しくて仕方がない、
という酷い人物。
自分と重なるところはありませんが、
私は「楽しくて仕方がない」という
気持ちに着目しました。
意地悪はしないけど、
何かをすることが楽しくて仕方がない!
という気持ちは十分理解できます。
なので、姉妹に意地悪した後、
「誰にも言えないけど、楽しいっっ!!」
という気持ちを
全く違うところから引き出していました。
それでも観る方には
「意地悪したのがそんなに楽しいなんて
ひどいおばさんね!」
という風に見えるのです。
違うところから引き出したものでも
その感情が本物であれば
全く感情移入できない人のセリフでも
読むことができます。
まとめ
今回は
「自分とは違うキャラクターを読む!
意地悪な人編」についてお話しました。
誰もが嫌な人の役は
やりたくないですよね。
全く感情移入できないし、
本当にそういう人間だと
思われたくないからです。
でもそういう役が
サラリとこなせるようになると、
表現の幅がぐっと広がります。
ある程度の長さを生きてくれば、
全く同じではなくても
似た感情はどこかで経験している
ことが多いです。
ぜひそういう感情をうまく使って
いろいろな役を演じてみてください。
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