セリフを登場人物として物語の最後まで読み切る方法

こんにちは。
声と体で小説の世界を
生き生きと表現する舞台朗読研究所
S-R Labo 松井みどりです。

今回は
「セリフを登場人物として
物語の最後まで読み切る方法」

についてお話します。

「登場人物として最後まで読み切る」とは?

物語をひとりで読むということは、
すべての役をひとりでこなす、
ということです。

もちろん朗読ですから
落語やひとり芝居とも
違う部分はあります。

それでも、私が思う
「舞台朗読」では、登場人物には
物語の中で生き生きと
生きてほしい
と思うのです。

そのためには、最初から最後まで
登場人物ごとに気持ちをセリフに乗せて
変化を表現する
必要があります。

セリフを読む時には
その人物の体をイメージして
読むと良い、
ということは
以前お話しました。

しかし部分的にはできても、
それを物語の最後まで続ける、
ということは
結構難しいものです。

なぜなら、登場人物も
成長したり、
変化したりする
からです。

悪人が善人になる、というお話は
よくありますね。

こういう時に、
「悪人っぽく読む」
「善人っぽく読む」

ということは、そんなに難しくありません。

でも、極悪人だった人間が
何かのきっかけがあって
ちょっとものの考え方が変わった…
という場合、

わかりやすく善人として
後半を読んでしまうと、
この登場人物の成長や変化を
うまく表すことができません。

ここで、ものすごく悪い奴が
少し考え方を変えた…という
ニュアンス
を表現する必要があります。

ちゃんと物語の最初から最後まで、
ひとりの登場人物として
セリフを読み切る、
というのは
そういうことです。

具体的な方法

それでは、具体的に
どんなところに気を付けて
読んでいけばいいのでしょう?

ひとりひとりの気持ちの流れを整理する

まずは、登場人物の
気持ちの流れを整理しましょう。

その人物は、最初はどのように
考える人物
だったのか。

変わるきっかけ
どういうことだったのか。

その結果、どのように
変化したのか。

このような気持ちの流れを
登場人物ごと
まとめてみましょう。

こんな簡単に割り切れるような
感情の流れでは
ないかもしれません。

そういう場合は少し大変ですが、
その人物の気持ちの流れを
繊細にキャッチしましょう。

その人物のデフォルトを決める

表現しづらくてカタカナを
使ってしまいましたが、
要するにその人物の普段の様子を
どう表現するか決める、
ということです。

普段の様子、というか、
平常時にいろいろなものに
どんな風に対応する人なのか、

ということを決めましょう。

この「普段」があるから
「変化」を表現することが
できるのです。

セリフがなく、地の文で説明されている
作品であっても、
ぜひこの部分はイメージしてください。

朗読はお客さまに
イメージして楽しんでいただく
ものです。

そのためには、まずは
読み手が十分にイメージすること
とても大切になります。

私が主宰する小説劇ユニット
「Mido Labo」では、
「リーディングトリップ・シアター」
と言っているのですが、

お客さまに物語の中を
旅していただくためには、
読み手がまず、物語の中を
十分に感じることが必要
なのです。

そのためにはまず、
人物のデフォルト(初期設定)を
明確に決めましょう。

着地点を見ながら、変化を表現する

最後に、最終的な着地点を見ながら
どのように変化を表現するか

決めます。

人物のデフォルトを決めたら、
今度は最終的にどうなるかを
イメージしましょう。

ある大きな出来事があって
一瞬で変わってしまうのか、

いろいろなことがあって
徐々に変化していくのか、

そのあたりを丁寧に追いかけながら、
最終的にどんな人間になるのか
イメージしてみてください。

そして、そこへ至るまでの道筋
どんな風に表現するのか考えるのが、
朗読の楽しいところです。

慣れてくると、
実際に物語の中で起こることを
読み手が体験する
ことで
自然に変化を表現することができます。

しかし最初のうちは、
しっかり整理して臨んだ方が
よいでしょう。

まとめ

今回は
「セリフを登場人物として
物語の最後まで読み切る方法」

についてお話しました。

長編朗読で
登場人物がたくさんいる場合は
結構大変ですが、

たいてい朗読の場合は、
そんなに大勢
登場人物は出てきません。

ですから、きちんと整理して、
その人物として最後まで
物語の中で生きてください。

それはきっと、
お客さまに伝わりますよ。

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S-R Labo主宰
松井 みどり

元フジテレビアナウンサー。退社後はナレーターとして活動する一方、舞台活動もスタートし、芝居、朗読、朗読劇などの舞台に年に10本ほど参加。2014年より教える仕事も続けている。

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