私がアナウンサーからフリーになり「舞台朗読」に辿り着いた理由

Mido Labo vol.14「サファイア」湊かなえ

こんにちは!
「声と体で小説の世界を
生き生きと表現する舞台朗読研究所」
S-R Labo主宰の松井みどりです。

「舞台朗読」と聞いて、
「ああ、あれね」と思う方は
ほとんどいないでしょう。

なぜなら、「舞台朗読」という言葉を
積極的に使っている人を
私以外に知らないからです。

それほど普通の朗読と変わっていそうもないし、
実際そんなに新しいものでもないと思うのですが、
今回は私が「舞台朗読」に辿り着いた
理由をお伝えします。

アナウンサー時代の朗読

「ラブシーン」への参加

私はフジテレビアナウンサーをしていました。
といっても、スポーツ中心でしたから
レポーターとして
声だけで出演することも多く、
当時から私がアナウンサーだということを
知らない方もたくさんいらっしゃる、
という状況でした。

そんな時、アナウンサーで朗読公演をやろうと
先輩アナウンサーが提案してくださいました。

「ラブシーン」という公演タイトルで、
私は数回参加させてもらいました。

それまでも、いわゆるナレーションは
たくさんやらせていただきましたが、
朗読というものを初めて人前で行ったのは
その公演が初めてだったと思います。

私が参加させていただいた時は
いとうせいこうさんが演出をしてくださり、
夏目漱石の「それから」を再構成した
ある種、前衛的で面白い舞台でした。

今振り返ってみると、
「こういう舞台があるんだ!」
ということを知る、
大きなきっかけだったんじゃないかと
思います。

その後の公演にも参加し、
ひと公演で6役をこなすなど、
いろいろやらせていただきました。

どの回もとても楽しかった…。
仲間と一緒に何かを作るということが、
昔の学園祭のようで
稽古が待ち遠しかったことを覚えています。

西澤實先生との出会い

その「ラブシーン」で
私は生涯の師と出会いました。

西澤實先生です。

西澤先生はNHKで長く放送作家をされ、
ラジオ全盛期からテレビの創成期まで
現場で仕事をされていました。

当時、日大芸術学部で教えていらっしゃり、
その教え子がアナウンス室にいたというご縁で
指導していただくことになったのです。

当時の私はひと通りの
アナウンス業務はこなせるようになっており、
ナレーションも「まぁできる」という
評価だったため、
朗読もできるだろうと思っていました。

ところが…

読み始めてみると、ダメ出しの嵐!
ちっとも先へ進みません。

先生はラジオからいらしているせいか
とにかく「音」にこだわる方でした。

「言葉が聞こえなければ始まらない。
自分の言葉をちゃんと届けなさい」

と、何度も言われました。

発声、活舌、間の取り方に気を付け、
自分の声をクリアに届けること。

私は当時から雰囲気を大切にするタイプで、
詳細よりも気持ちが先走っていました。
基礎がなかったんですね。

正直、「それは昔の読み方じゃないの?」
と偉そうに思ったこともあったような
気もしますが(^^;;
振り返ると、あの時の基礎があったから
今の自分があるんだなぁと
本当にありがたく思います。

「ラブシーン」でお世話になった後、
私は個人的に西澤先生が主宰されている
朗読教室に通い始めました。

そこでも先生のお弟子さんにあたる
良い先生に巡り合い、
朗読の基礎を教えていただきました。

フリーになってからの試行錯誤

朗読に対する想い

その後、2006年に
フジテレビを退社した私は、
2007年からナレーターとして
活動を始めましたが、
その翌年あたりから、舞台で朗読をやりたい
思うようになってきました。

「ラブシーン」のころからずっと、
私にはひとつの想いがありました。
それは…

「舞台で朗読を聴いてもらうとは
どういうことなんだろう?」

ということ。
これは今でも考え続けている
私の原点です。

ラジオや音声配信など音だけの世界ならば、
とにかく物語の中に没入して
その世界を伝えればいい。

でも、わざわざ足を運んで
その場に来てくださったお客さまに対して、
舞台芸術として総合的に
「観ても」楽しんでもらえる舞台
できないだろうか。

そういう想いで、
その後のチャレンジを続けてきました。

「家族草子」への参加

森浩美さんとの出会い

しかし誰も私がそんな想いを
持っていることは知らないので、
当然ながら自分で動くしかありません。

何度か自分でプロデュースして
公演を行いました。
その中で、公演を行うということは
どういうことかを、いろいろ教えていただきました。

2012年に知り合いの喫茶店をお借りして
「2030夜の図書委員会」というイベントを
1年間開催しました。

これは月に1回、夜の8時半から
私が面白いと思った作品を
朗読でご紹介する、というもので、
1月から12月まで計12回、
予定通り開催しました。

月に1回というのはかなりのハイペースです。
実際、作品選び、許諾の申請、稽古、本番と
全く休みなく1年続くのですから、
まぁ今思うと、よくやったものです。

その中で森浩美さんという方が書かれた
「思い出バトン」という作品を
読ませていただくことになりました。

それまで全く知らない作家さんでしたが、
ある日たまたま手に取った本を
立ち読みして号泣!
そのままその本を買って、
すぐさま出版社を介して
森さんに許諾を申請しました。

すると快諾してくださり、
さらに出版社の方が
見に来てくださったのです!
そしてビデオを見たいとのことだったので
資料用に撮影していた動画をお渡ししました。

そのうちに、なんと森さんから
会いたいと連絡がきました!
自分でも朗読の会を主催したいので、
その時は力を貸してほしい
とのこと。

もちろんありがたいオファーを
すぐにお受けしました!
自分のしたことがきっかけで
こんな素晴らしいご縁をいただけて、
今でも本当に感謝しています。

最初の戸惑い

こうして2012年12月に
「家族草子 vol.ZERO」が開催されました。

実は最初、どんな公演になるのか
詳細はうかがっていなかったのですが、
打ち合わせに行くと
たくさんの役者さんたち…。

ん?これは何なんだろう…と思っていたら
ひとつの役にひとりの役者さんがつくという、
いわゆる朗読劇のようなスタイル
ということがわかりました。

こんなにたくさんの役者さんと
一緒に仕事をする…
大丈夫かなぁと少し不安に思いました。

でも、森さんの作品は一人称小説
主人公が地の文で語るスタイルです。
ですので地の文の分量が当然ながら
多かったので、
これなら役者さんと一緒でも
私にもできるかなと思い直して
参加しました。

たくさんの役者さんたちとの出会い

ここに参加することで、
私はいろいろな役者さんの芝居を
初めて稽古からじっくり見る
ことが
できました。

最初は全然わからなかったのですが、
少し経験してくると
セリフを言う時の間
自分とは違うことに気づきました。

他に動きと読みを一致させる方法
相手の話を聞くことの大切さなど、
芝居をする上での基礎は
ここで学ばせてもらいました。

本当に「家族草子」には
素晴らしい俳優さんがたくさん参加
されていて、
ものすごく贅沢な現場なのです。
今でも、いろいろなことを学んでいます。

ありがたいことに「家族草子」には毎年
参加させていただいています。
もはやメンバーはみんな、私にとって
大切な家族です。

ホーム

「Mido Labo」の立ち上げ

朗読の基礎を西澤先生に学び、
芝居の基礎を家族草子で学んだ私は、
また新しいことをやりたくなりました。

そして2015年に
「Mido Labo」(ミドラボ)を立ち上げます。

2030夜の図書委員会を開催する時に
改めて思ったのですが、
私は本がとても好きなんです。

小さい時から本さえ渡しておけば
何時間でもひとりで読んでいる子どもでした。

そのせいか
自分が面白いと思った本、感動した本を
他の人にも伝えたいー
という気持ちが
常に根底にあるのです。

そこで、今まで私が経験してきたことを
全て使って、
舞台で小説を伝えることができないだろうか
と考えました。

今では「リーディングトリップ・シアター」
として、
「セットを使わず、小説の地の文とセリフで
物語を立ち上げる舞台」
を目指し、
今でもチャレンジを続けています。

Mido Labo|小説劇|朗読|リーディング
Mido Laboは元フジテレビアナウンサー・松井みどりが立ち上げた小説劇ユニット。「リーディングトリップ・シアター」として「具体的なセットを使わず、小説の地の文とセリフだけで物語を立ち上げていく舞台」を作っています。ぜひ「観る小説」をご体感ください!

自分にとっての「朗読」とは何か

「舞台朗読」に行き着いた理由

家族草子とMido Laboを中心に
他にも芝居や朗読の舞台に
呼んでいただきながら
数年過ごしてきましたが、
最近になって
また新たな想いが芽生えました。

「もう一度朗読でも舞台に立ちたい」

という想いです。
原点回帰ではないですが、
私の中には「ひとりでできることが基本」
という想いが根強くあり、
仲間と作る舞台も大切だけれども
自分ひとりでも
舞台という空間を使って表現をしたい

と思うようになったのです。

そうなった時に考え出したのが
「舞台朗読」という言葉です。

基本の朗読に加えて伝える体を持ち、
お客さまに観ていただくことを意識し、
より具体的にイメージして
楽しんでいただく表現方法ー

それが「舞台朗読」の
基本的な考え方です。

原稿を読むことが仕事だった
アナウンサー時代。
そこで出会った朗読。
その後の様々な経験。

そういったこと全てを経て
私は「舞台朗読」に辿り着いたのです。

「舞台朗読」における「舞台」

わざわざ「朗読」という言葉に
「舞台」をつけたのは、
大きな舞台で行うことをイメージしたわけでは
ありません。

読み手がいてお客さまがいれば、
そこはどこでも舞台です。

そういうことではなく、
ラジオや配信で声を聴いてもらうだけでなく、
「お客さまにわざわざ足を運んで観てもらう」
ということを表した言葉です。

別に聴いていただくことをメインに考えた
朗読を否定するわけではありません。
その道のプロという人の朗読は
本当に素晴らしいです。

その中で私は、
「目をつぶって聴こうと思ってたんだけど、
思わず目を開けて観ちゃったよ」

とお客さまに言っていただけるような舞台が
作れたら、それが
私らしさになるんじゃないかと思っています。

「舞台朗読」における「動き」

自分で言うのもなんですが、
「舞台朗読」って
別にものすごく新しいものではないと思います。

体を使うと言っても、
常に立ったり、動いたりするわけでは
ありません。

そういう時もありますが、
基本は椅子に座って行います。

体を使うというのはそういう移動ではなく、
椅子に座ったまま、体勢や目線の変化で
物語をより立体的に伝える
ということです。

体が変わると、
それに伴って声の出し方が変わります。

背中を丸めると、年を取った感じになるし、
パッと動いてから読むと、勢いが感じられます。

そういう変化を織り交ぜることで、
聴いても観ても面白い表現になるのではと
考えています。

まとめ

私が舞台朗読を広めたいと思うまでを
振り返ってみました。

改めて、本当にたくさんの方のお世話になり、
教えてもらい、助けてもらって
今があるんだなぁと思います。

舞台朗読は、お客さまに観ていただくことを
前提としています。
ですから、表現力がびっくりするほど
ブラッシュアップされます。

やってみたい!という方や
面白い!と思う方がいらっしゃったら、
やり方をお伝えします

どなたでも楽しんでいただける舞台朗読を、
もっと皆さんに体験していただきたいー

そのために、このサイトを立ち上げました。

これからもいろいろな情報をお伝えしていきますので、
今後とも、よろしくお願いいたします!

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S-R Labo主宰
松井 みどり

元フジテレビアナウンサー。退社後はナレーターとして活動する一方、舞台活動もスタートし、芝居、朗読、朗読劇などの舞台に年に10本ほど参加。2014年より教える仕事も続けている。

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