こんにちは。
声と体で小説の世界を
生き生きと表現する舞台朗読研究所
S-R Labo 松井みどりです。
今回は
「地の文を舞台で読む時の
見せ方のポイント」
についてお話しします。
舞台で気をつけたい3つのポイント
「登場人物の感情を表現する
地の文は読みやすいけど、
ただの状況説明は
感情の込めようがないから
難しい…好きじゃない…」
とおっしゃる方、
少なくありません。
気持ちはよくわかりますが、
朗読という表現方法の
大きな魅力に
「地の文を読む」ということが
あると私は思います。
地の文の読み方については
こちらの記事も参考にしてください。
今回は、舞台で読む時に
見せ方として
考えたいポイントを
お伝えします。
常に顔を上げる必要はない
私は朗読をする時に、
顔を上げて
お客さまを見ることを
おススメしています。
普通の文学作品を読む時、
お客さまに直接
言葉を渡すには、
やはり読み手が聴き手を
物語に巻き込んでいくことが
とても大切です。
そのためには顔を上げることが
有効だと考えるからです。
でも、状況説明の
地の文を読む時は、
無理に顔を上げようと
しなくても大丈夫です。
なぜかというと、
状況や情景の描写は
聴き手の頭の中で
イメージしてもらう部分が
大きいからです。
ですからあまり頻繁に
顔を上げてしまうと、
聴き手の集中力が途切れ、
物語に集中できない
ということが起こります。
ですからしばらく
読みっぱなしでも大丈夫です。
そこは読み手の方も
聴き手以上に十分
想像力を働かせて、
物語の中に没入しましょう。
情景を聴き手と一緒に見る
情景描写に入る時、
読み手がその景色を見ている…
という動きをすることは、
聴き手にとって
とても分かりやすく、
有効な表現方法です。
「賢治はその窓から外を眺めた」
例えばこのような
情景描写のスタートが
書かれている場合です。
この時、読み手が
窓から外を眺めるように
顔を上げる、という動きは
物語を邪魔せず、
聴き手のイメージを
具体化する手助けをします。
ただし!
ただ見るだけではダメなのです。
見ながらゆっくりと
息を吸いましょう。
窓から外を見る時、
人は自然に息を吸いながら
窓に近寄り、
息を吐きながら外を見ます。
この動きを
再現するのです。
ですから顔を上げながら
息を吸うということは、
窓に近づくという呼吸を
再現しています。
そして、息を吐きながら
ゆっくり本に
目を落とします。
その時、聴き手がそれぞれの
イメージの中で、
読み手の地の文を聞きながら
窓の外を見るのです。
こんな風に
情景描写のスタートで
動きを加えることは、
とても重要です。
聴き手の顔を見ず顔を上げる
顔を上げるというと
必ず聴き手の顔を見なければ!
と思われるかもしれませんが、
台本から目を上げる、
という表現も
小さいですが効果的です。
情景描写をしていて、
「すごいな…」
「きれいだな…」
「なるほど…」
など、
読み手の気持ちが動く
ことがあります。
その時に顔を上げて
聴き手を見るのではなく、
台本からほんの少し
目を上げてみてください。
とても小さな動きですが、
読み手が何かを感じている
ということが
ちょうど良く表現できます。
さらに目を上げるタイミングで
息を吸ってみてください。
吐きながら台本に戻ると、
とても自然です。
まとめ
今回は
「地の文を舞台で読む時の
見せ方のポイント」
についてお話ししました。
状況説明で大切なのは、
読み手が聴き手以上に
物語に入り込むことです。
読み手が
イメージできていないものは
聴き手も
イメージできません。
十分に想像力を働かせ、
なおかつ見え方にも気を配り、
聴き手に存分に
物語を楽しんでもらいましょう。
コメント