朗読劇出演者必見!セリフを生き生きと表現する3つのポイント

こんにちは。
声と体で小説の世界を
生き生きと表現する舞台朗読研究所
S-R Labo 松井みどりです。

今回は「セリフを生き生きと
表現する3つのポイント」
について
お話します。

セリフの表現の変化とは?

朗読や朗読劇で
登場人物を
セリフで表現する時

よく起こるのが、

「表面的に書かれた感情だけを
セリフに乗せて読む」

ということです。

セリフに感情を乗せて
読めるということは、
一見すると良いことに
思えますよね?

実際、悪いことでは
ないのです。

しかしひとりの人間を
セリフできちんと表現するには、
書かれたセリフの裏
表現する必要があります。

例題「届けてくれてありがとう」

例を出して説明します。

A「届けてくれてありがとう」
B「どういたしまして」
A「どこにあったの?」
B「ああ、あの棚の中よ」
A「そう。そこも探したのに」
B「見落としたんじゃない」
A「……そうかもね」
B「じゃ、また明日」

Aが探していたものを
Bが持ってきてくれた、
というシーンです。

文字通り読んだ場合

文章に書かれている通り
感情を乗せて読むと、
以下のようになります。

A「届けてくれてありがとう」
 (嬉しそうに)
B「どういたしまして」
 (良かった、という気持ちで)
A「どこにあったの?」
 (不思議そうに)
B「ああ、あの棚の中よ」
 (明るく説明)
A「そう。そこも探したのに」
 (反省するように)
B「見落としたんじゃない」
 (元気づけるように)
A「……そうかもね」
 (しばらく考えてから元気よく)
B「じゃ、また明日」
 (明るく)

このような気持ちを込めて読めると、
場面としては形になります。

ただ、もちろん
このセリフの表現方法は
これだけではありません。

高校生の男女ふたりの場合

例えば、高校生ふたりの会話で、
Aの男子がBの女子を好きだが
告白できずにいる…

という状態だったとします。

すると、例えばこんな風に
読み方が変わってきます。

A「届けてくれてありがとう」
 (おずおずと)
B「どういたしまして」
 (たいしたことないよ)
A「どこにあったの?」
 (必死に会話をつなぐ感じ)
B「ああ、あの棚の中よ」
 (ぶっきらぼうに)
A「そう。そこも探したのに」
 (ダメだなぁ俺、と自嘲する)
B「見落としたんじゃない」
 (ダメねぇ、アンタ)
A「……そうかもね」
 (ちょっと落ち込む)
B「じゃ、また明日」
 (ぶっきらぼうに)

どうでしょう?
全く印象が変わりますね。

会社の同期の女性ふたりの場合

もうひとつ例をあげます。
今度の登場人物は
お互いが嫌いな
会社の同期の女性ふたり。

当然お互いの気持ちは
わかっているけれど、
その気持ちを表向き隠している…
という状況だったとします。

すると、例えば
こんな感じになります。

A「届けてくれてありがとう」
 (探るような感じ)
B「どういたしまして」
 (表面的な感じ)
A「どこにあったの?」
 (あんたが盗ったんじゃないの?)
B「ああ、あの棚の中よ」
 (明らかに嘘を言っている)
A「そう。そこも探したのに」
 (嫌味を込めて)
B「見落としたんじゃない」
 (バカにする感じ)
A「……そうかもね」
 (コイツ…許さん!)
B「じゃ、また明日」
 (嫌味たっぷりに明るく)

こうなると、ちょっとした
ホラーですよね。
事件が起こりそう…。

セリフを生き生きと表現するポイント

このように、セリフは
表現の仕方によって、
全く違うイメージ
お客さまに与えます。

それがリアルであるほど
お客さまは物語に没入でき、
楽しむことができる
のです。

それでは具体的に
どのように考えていったら
セリフを生き生きと
表現する
ことができるのでしょう?

考えてほしい順に
3つのポイントをお話します。

登場人物の性格を考える

まずは登場人物の性格を
セリフに反映
させます。

例えば前述の高校生の場合、
もしAの男子がお調子者で、
Bの女子がぶりっ子だったら、
これまた全く違う表現方法になります。

もっと明るく、
コミカルなテイスト

なりそうですね。

会社の同期ふたりの場合、
どちらかが熱くなりやすく
どちらかが超冷静だったら、
また表現が変わります。

熱くなりやすいタイプの
表現の仕方次第では、
もっと動きのあるシーンになります。

同じセリフでも
登場人物の性格によって
言い方は全く違う
ので、
そこを表現する必要があるのです。

そのシーンの状況を確認する

次に登場人物の置かれた状況
について確認します。

どんな場所で、どんな関係で
セリフを言っているのか。

それによってセリフの表現は
全く変わってくるからです。

例えば高校生ふたり
シチュエーションの場合、

教室で話しているのと、
土手で話しているのとでは、

その場にいる体が違うので、
言い方も変わってきます。
土手の場合もう少し開放的で、
空や川を見る感じが出てきますね。

また会社の同期ふたりの場合、
嫌いとまでは行かず、
なんとなく気に食わない…
くらいの関係の場合、

もっと取り繕うような表現
出てきそうですよね。

こんな風に状況によって、
セリフの言い方は
全く変わってきます。

登場人物の性格とシーンの状況を組み合わせる

登場人物の性格と
シーンの状況を考えたら、
今度はそのふたつを
ミックス
して考えます。

実はここが一番大切ですが、
ここまでいけないことも
よくあります。

人間には性格がありますが、
一元的ではありません。

きちんと人間がえがかれている
作品の場合には、
複雑な表現を求められるシーン
必ずあるのです。

明るい人がいつも
明るいわけじゃないし、
弱い人がいつも
弱いわけじゃない
のです。

ここを意外と
忘れることがあります。

「この人はこういう性格だ!」
と思うと、どんな状況でも
そういう表現になってしまう
のです。

例えば…

・場面が過去に変わった時
・特定の人と話す時
・そこにいる目的がいつもと違う時

こういう時は、その人物が
いつもと違う気持ちになることが
多いシチュエーションです。

そのため、カッコつけている人が
真面目に語ったり、
いつもは強い人が弱さを見せたりと、
人間らしい「揺れ」を見せます。

それが人間だと思いませんか?

そこを表現できたら、
とてもリアルな人物を表現でき、
お客さまの共感を得て
その場を生き生きと生きられるのです。

まとめ

今回は「セリフを生き生きと
表現する3つのポイント」
について
お話ししました。

私はこの3つめのポイントを
なかなかつかむことが
できませんでした。

「この人は冷静な人」と思うと
やはりどんなシーンでも
冷静になってしまうのです。

いや、正確には
自分では変化させているつもり
なのですが、はたから見ると
変化が見えないのです。

「この人は冷静な人」という
自分への刷り込みが強かったのと、

そんな人でも熱くなることがある
ということを、
本当には理解できていなかった
ということなんでしょう。

セリフで人物を表現するには、
こういう人間らしい「揺れ」を
どれだけ効果的に見せられるか

大きなポイントがあります。

「自分では自然にセリフを
言っているつもり
でも
何かがうまく行かない…」

という時には、
もう一度この3つのポイント
確認してみてくださいね。

S-R Labo主宰
松井 みどり

元フジテレビアナウンサー。退社後はナレーターとして活動する一方、舞台活動もスタートし、芝居、朗読、朗読劇などの舞台に年に10本ほど参加。2014年より教える仕事も続けている。

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