こんにちは。
声と体で小説の世界を
生き生きと表現する舞台朗読研究所
S-R Labo 松井みどりです。
今回は
「朗読する時の意識が変わる!
文字を言葉として素早く理解する方法」
についてお話しします。
文字を言葉として理解するとは?
文章を読む時に
文字をひと文字ずつ追って
読んでいると、
その文字がひとつの言葉として
理解されるまでに
時間がかかります。
そのためしっかりと
内容を意識して読むことが
できにくくなるのです。
文章を読む時には、
自分が何を伝えているのかを
自分が一番わかっている
必要があります。
そのためには文字を言葉として
素早く意識することが
重要なのです。
「単語読み」について
文字を素早く意識する方法
そこで、渡された原稿を
素早く意味を理解して
間違わずに読む方法として、
「単語読み」という読み方を
考えました。
やり方は簡単。
文章を単語ごとに
丸で囲んでいくだけです。
しかし効果はてきめんで、
難しそうな文章が
一気に読みやすくなります。
具体的なやり方
それでは例をあげながら
単語読みのやり方を
ご紹介します。
次にあげるのは
芥川龍之介「羅生門」の
冒頭の一節です。
ある日の暮方の事である。一人の下人が、羅生門の下で雨やみを待っていた。
広い門の下には、この男のほかに誰もいない。ただ、所々丹塗の剥げた、大きな円柱に、蟋蟀が一匹とまっている。羅生門が、朱雀大路にある以上は、この男のほかにも、雨やみをする市女笠や揉烏帽子が、もう二三人はありそうなものである。それが、この男のほかには誰もいない。
(「羅生門」芥川龍之介より)
この文章を
このように何も手を加えずに
読んだ場合、
少し読みづらいなと
感じる方もいらっしゃるでしょう。
もちろん何度か読めば
段々文章に慣れていくのですが、
十分な時間がない時は
なかなか難しいかもしれません。
それでは、このように
文章に手を加えたらどうでしょう?
ある日の暮方の事である。一人の下人が、羅生門の下で雨やみを待っていた。
広い門の下には、この男のほかに誰もいない。ただ、所々丹塗の剥げた、大きな円柱に、蟋蟀が一匹とまっている。羅生門が、朱雀大路にある以上は、この男のほかにも、雨やみをする市女笠や揉烏帽子が、もう二三人はありそうなものである。それが、この男のほかには誰もいない。
(「羅生門」芥川龍之介より)
これは単語がまとまって
目に入りやすいように、
単語に青いマーカーを
引いたものです。
ここで言う単語とは、
名詞の部分です。
名詞が「門」「男」など
ひと文字の場合は、
「広い門」「この男」というように
ひとかたまりにして構いません。
ブログでの表記上、
今回は青いマーカーを引きましたが、
原稿上ではこのマーカー部分を
丸で囲むだけで大丈夫です。
どうですか?
格段に読みやすくなったと
思いませんか?
こうやって単語を
パッと見ただけで
理解できるようにすると、
それを追いかけていくことで
単語の意味を一瞬で
思い描くことができます。
最初はこのように丸で囲みながら
この読み方に慣れると、
最終的には何も印がなくても
文章を単語単位で読める
ようになります。
そうなると
内容がパッと理解できるので
適切な抑揚がつきやすく、
初読の時のクオリティが
グッと上がります。
まとめ
今回は
「朗読する時の意識が変わる!
文字を言葉として素早く理解する方法」
についてお話ししました。
私はナレーターなので
いきなり渡された文章を
すぐに読まなければならない時も
あります。
そういう時に
こんな風に単語にチェックを入れると
格段に読みやすくなり、
読みの精度が上がりました。
パッと見て内容を
理解できるということは、
それをただ音声化するのではなく
きちんと抑揚をつけて
わかりやすく伝えることに
繋がります。
朗読をする時にも
簡単で有効ですので、
ぜひお試しください。
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