子どもから年配者まで…舞台朗読で人物を読み分ける方法

こんにちは。
声と体で小説の世界を
生き生きと表現する舞台朗読研究所
S-R Labo 松井みどりです。

今回は
「舞台朗読で人物を
読み分ける方法」

についてお話します。

「読み分け」は是か非か?

以前からお話しているように、
私は舞台朗読には
明らかな読み分けは
必要ない
と思っています。

なぜなら、舞台朗読は
人前で何人もの人物を
演じ分けます。

そのため声だけが変わり過ぎると
見た目と違い過ぎて、
違和感の方が
強くなってしまう
からです。

そういうことがとても得意で、
完璧に読み分けることが
その人の表現として
成立しているようであれば、

それはそれで
ひとつの表現方法です。

そうでなければ読み分けに
固執する必要はない
思います。

でも、バランスよく読み分けを
入れられると、
グッと物語の中へ
没入していただく
ことができ、

お客さまのイメージ力
より高まります。

今回はそのような朗読をしてみたい
と思っている方のために、
具体的なテクニックと
行う時のポイント
をまとめました。

エンターテインメントとしても
楽しんでいただける朗読を目指す方は、
参考にしてみてください。

読み分ける時のテクニック

それでは具体的な
読み分ける時のテクニックについて
お伝えします。

子どもの場合

子どもの場合、
「声が高い」「声が直線的」
という2点を意識してください。

声を直線的に出すとは、
体に声を響かせず、
真っ直ぐ出す
ということです。

声を高く出すとそうなりやすいので、
感覚がうまくつかめない方は、
まずは高い声で読んでください。

ただし、高い声でと言っても、
高い声の中で
きちんと抑揚をつけられる高さ

読んでください。

高い声というと、
裏声になってしまう方が
いらっしゃいますが、

裏声だと、裏声の中で
抑揚をつけることが
できません。

そのセリフが自然に言えるよう、
高低の変化がつけられる高さ
読みましょう。

若者の場合

10~20代の若者の場合、
先ほどの子どもより
少しだけ低い音
読んでみましょう。

もしあなたが
若い頃は思い出になっている…
という年代なら、

普段のあなたの声よりは
高くした方が
雰囲気が出ます。

いわゆる現代風の若者なら
「だからぁ」「それでぇ」
というような口調を取り入れるのも
良いと思います。

その人物に合わせて
姿勢を正す、逆に姿勢を悪くするなど
体の表現も有効に使えます。

中年の場合

若者よりも
低い声で読みましょう。

少し体に響かせて、
幅のある声が出ると
年配者らしい感じが出ます。

読むスピードも
若者よりゆっくりにしましょう。

セリフに反応するスピードが
若者より遅くなりますので、
リアクションする間
長めにしましょう。

老人の場合

できるだけ低い声で
ゆっくり
読みましょう。

子どもの時と反対で、
高低の抑揚をつけられる、
ギリギリの低さ
です。

声を真っ直ぐに出さず、
息を弱めに出して
声帯が震える音を足せると
雰囲気が出ます。

普通に声を出すのが
「あー」だとすると、
「あ゛ー」という音です。

この音を入れられると、
一気に老けることができます。

間も多めに取りましょう。
年をとるにしたがって、
反応スピードもゆっくりになります。

読み分ける時のポイント

相対的な変化がつけば良い

読み分けは相対的なものです。
つまり、その人なりに
変化がついていれば良い
ということです。

一般的に若者は声が高いです。
そういう人は老人を
表現できないのかというと、
そういう訳ではありません。

高い人は高い人なりに、
自分の中で抑揚がつけられる
ギリギリの低さで読めば
読みに差が出ます。

この差が「読み分け」です。
ですから、誰でもできるものなのです。

さらにここに体の変化
プラスすることで、
お客さまに場面を
想像していただきやすくなります。

バランスが大切

読み分けはバランスです。

最初にお話したように、
あまりにも声だけが変わり過ぎると、
違和感
を感じてしまいます。

しかし一回オーバーにやってみないと
どれくらいがちょうど良いのか
わかりません。

練習の時に、
自分ではやり過ぎだと思うくらい
読み分けをして、
録画して見直してみてください。

大体の場合、
「あれだけやったのに、
あんまり変わってない…」

と思うことが多いです。

ですから怖がらずに、
自分ができる一番大きな表現
してみてください。

本当にやり過ぎで、
話が入ってこない…と思ったら
少し小さめに表現すればOKです。

目的ではなく手段

読み分けは
舞台朗読の目的ではありません。

舞台朗読の目的は、
物語をお客さまにイメージして
楽しんでいただく
ことです。

笑えるやり取り、
丁々発止のやり取り、
思いのたけを伝えるやり取り…

そういう生きたセリフを聴いて
お客さまの中で場面を想像して
その物語を深く感じていただく。

そのための手段として、
読み分けはあるのです。

その視点を常に忘れずにいれば、
自分なりのバランスをとることが
できるようになります。

まとめ

今回は
「舞台朗読で人物を
読み分ける方法」

についてお話ししました。

実際に読み分ける時には、
声だけじゃなく
体も変えられると
自然に読み分けられます。

表現は全てバランスです。
何をどのくらい表現するのが
ちょうど良いのかの判断の違いが
個性となります。

自分の感覚に自信がない…という方は、
ぜひお好きな方の真似をしてください。

声の高さ、息遣い、体の使い方などを
完全にコピーするのは
とても良い練習になります。

そうやってご自分の感覚を
磨き続け、
自分なりの表現を見つけましょう。

S-R Labo主宰
松井 みどり

元フジテレビアナウンサー。退社後はナレーターとして活動する一方、舞台活動もスタートし、芝居、朗読、朗読劇などの舞台に年に10本ほど参加。2014年より教える仕事も続けている。

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