朗読したい作家・作品「浅田次郎」話の中にその人の人生が見える

Mido Labo vol.12「うたかた」浅田次郎

こんにちは!
「声と体で小説の世界を
生き生きと表現する舞台朗読研究所」
S-R Labo主宰の松井みどりです。

今回は
朗読したい作家・作品ということで
「浅田次郎」さんを取り上げます。

浅田作品の魅力

感動できる短編が多い

浅田次郎さんの作品は
朗読で聞いたことがある方が
多いのではないでしょうか?

出演者が多い朗読会だと
ひとりくらいは
浅田さんの作品を読まれます。

その魅力は、まず
「短編を多く書いている」ということ。

そしてその中で
「短編とは思えないほど
人々の人生を描いている」

ということだと思います。

ひとつひとつの作品の中に
感動ポイントがちゃんとある、
つまり登場人物の人生が
そこにある
ということですね。

多くの浅田作品が朗読される
一番の理由はそこではないかと
私は思います。

弱者への優しい視線

浅田さんの作品は
弱い者、うまくいかない者、
重いものを背負っている者への
寄り添うような視線が印象的です。

そうならざるを得なかった理由が
丁寧に描かれ、
そこに私たちは共感します。

もちろん物語によっていろいろな
シチュエーションがありますが、
1冊の短編集を読むと
自分の痛い部分にピタリとはまる
作品がひとつくらいあるのです。

本当に切なくなる作品が多いのは、
何かを失ったことのある人への
優しい視点
書かれているからだと思います。

優しく、わかりやすい文章

耳で聴く朗読は
目で見て理解するより
どうしても情報量が少なくなります。

浅田さんの文章は
難しい言葉が少なく、
誰でも理解できる言葉で
書かれています。

耳で聴いても十分理解できるので、
浅田さんの作品は、
朗読にとても向いているのです。

ちなみに、理解という意味では
わかりやすいですが、
読むのが簡単かというと、
そうとは限らないところが
チャレンジ魂を刺激されます!

おススメの作品

「うたかた」

最初は光文社文庫「見知らぬ妻へ」
に収蔵されている
「うたかた」です。

ある団地で老女の遺体が
発見されます。
しかも彼女は事故や事件ではなく
餓死で亡くなっていたのでした…。

冒頭のふたりの刑事のやり取りから
物語の大枠がわかります。

その後は亡くなっていた老女・房子の
これまでの人生が遡って描かれ、
なぜ餓死を選んだのかという理由に…
涙が止まりません。

私はこの作品を
自分が主宰する小説劇ユニット
Mido Laboで、2回上演させていただき
主人公の房子を演じました。

小説を朗読する時は
部分朗読をすることが多いのですが、
この作品はほとんど割愛するところが
ありませんでした。
そのまま読めます。

舞台朗読として行うのは
大変難しい作品ですが、
団地というものが彼女にとって
どういう存在だったのか

表現することがポイントになります。

もうひとつ、
若い時と年を取ってからの
房子の演じ分け

うまく表現したいところです。

「シエ」

続いては文春文庫「姫椿」
収蔵されている「シエ」です。

長年飼っていた猫を亡くした鈴子は、
ペットショップで
不思議な生き物に出会います。

それは「シエ(獬)」という
伝説の生き物でした。

シエと暮らすうちに、鈴子は
自分の人生、過去と向き合い始めます。
そして最後に…。

形式はファンタジーなのですが、
他の部分がとてもリアルなので、
全く違和感なく読み進めます。

幸せになることを頑なに
拒んできた鈴子を
シエはどうやって変えていくのか…。

作中にある鈴子とシエの長セリフ
(のような地の文)を
どんな風に表現するかが
考えどころです。

今でもラストシーンが目に浮かぶようです…。
実は2020年4月に
Mido Laboで上演することになっていたのです。

残念ながら
延期になってしまいました。
時間をもらったので、
さらに読み込みたいと思います。

「スターダスト・レヴュー」

もうひとつ光文社文庫「見知らぬ妻へ」から
「スターダスト・レヴュー」をご紹介します。

主人公はかつてはオーケストラで
チェロを弾いていたけれど、
ドロップアウトして
今はクラブでピアノを弾いている
40歳の飯村。

昔の仲間や、愛した女の成功。
今の自分の境遇。
周囲の人間たちとの関わり…。
年齢が飯村に決断を迫ります。

まるで音楽が聞こえるような物語
音楽を志したことのある方には
ぜひ読んでいただきたい作品です。

この話はどちらかというと
「泣ける」というタイプの
物語ではありません。

人が何かを決断していく時の心理を、
様々な音楽シーンをBGMにして
しみじみ味わうタイプの物語です。

クラシックとジャズ。
それぞれの音楽と響き合う町の違い
うまく表現したいですね。

物語のクライマックスで
飯村がチェロを弾くシーンの
長いセリフのような地の文が、
小説という媒体をうまく使って
書かれています。

このシーンもポイントになります。

まとめ

今回は、朗読で読みたい作家・作品ということで
「浅田次郎」さんについてお話ししました。

浅田さんの作品を読むためには
浅田さんの許諾が必要になります。
出版社までお問い合わせください。また許諾申請の方法については
こちらをご覧ください。

朗読をしていると
ついつい短編ばかり読んでしまいますが、
浅田さんの長編には
これまた素晴らしい作品がたくさんあります。

もちろん短編もまだまだたくさんありますので、
ぜひご自分が感情移入できる作品を
探してみてくださいね。


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S-R Labo主宰
松井 みどり

元フジテレビアナウンサー。退社後はナレーターとして活動する一方、舞台活動もスタートし、芝居、朗読、朗読劇などの舞台に年に10本ほど参加。2014年より教える仕事も続けている。

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