地の文はどう読む?小説劇で伝わるように読む3つのポイント

Mido Labo vol.14「サファイア」湊かなえ

こんにちは!
「小説を演じる小説劇研究所」
S-Rラボ 松井みどりです。

今回は小説劇における、
地の文の読み方のポイントについて
お話しします。

地の文とは

皆さんおわかりとは思いますが、
「地の文」とは小説のセリフ以外の部分です。

戯曲は全てセリフで構成されていますが、
小説はほとんどの部分が地の文で
構成されています。

そのため地の文をどう読むかが、
その朗読のイメージを決定するのです。

読む時のポイント

自分として読んでいく

地の文は誰で読む?

特に役者さんに多いのですが、
地の文を誰で読んでいいのかわからない
という声を聞きます。

芝居では必ず役の人間として
舞台に立っているので、朗読をする時に
地の文を誰で読んだらいいのか戸惑う、
ということでしょう。

結論から言うと、
私は自分として読めばいいと思います。

あなたはその文章を読んで、
どう感じていますか?

あなたが文章を読みながら、
その文章に対して思っていることを、
そのまま表現してください。

具体例

例えば、

「サユリは悲しくなった。」

という地の文があったとします。

この文章を眉を下げて声を作り
悲しそうに読むというのは、
私が言っていることとは違うのです。

そうではなく、
あなたがリアルに悲しい気持ちになって、
その気持ちでこの文章を読んでほしい
ということなのです。

この違い、わかりますか?

リアルに悲しくなるためには、
自分が読んでいる声を聞き、それに
反応していくことが大切です。

実際にお客さまの前で発表する時には
何度も練習するので、当然話の内容は
覚えてしまいます。

でもその話をすべて忘れて、
新しい気持ちで自分が読む声を聞き、
それに反応することができれば、
その瞬間だけリアルに楽しくなったり
悲しくなったりすることができます。

そうやって文章にあなたの気持ちを
織り込みながら読むことができると、
文章の内容がお客さまに届きます。

間で気持ちを表現する

「相手のセリフを聞け!」

ちょっと芝居の話をしますね。

芝居ではまず相手のセリフを聞き、
それに反応してセリフが出てくる
という流れが基本です。

相手からもらった感情の流れで
自分の気持ちが動き、その結果セリフが出る、
というイメージです。

だから「相手のセリフを聞け!」
何度も言われます…。
はい、私も何度も言われましたし、
理解するまで時間がかかりました。

いろいろな考え方があると思いますが、
私は相手のセリフを聞いてから
自分のセリフを言うまでのあいだの間を
取れることが、相手のセリフを
聞くことだと思います。

つまり、セリフを聞いてそれに
リアクションする間があって、
それからセリフが出てくるということです。

この考え方は、
小説劇にとってもとても大切です。

小説劇で地の文を読む時に
「相手のセリフを聞け!」がどういう風に
大切なのか、具体例をあげて説明しますね。

具体例

例えば

「サユリはゆっくりと顔を上げた。
そこには、どこまでも澄んだ青空が
広がっていた。」

という文章があったとします。

大事なのは「顔を上げた。」と
「そこには、どこまでも~」のあいだの
間(ま)です。

顔を伏せていたサユリが
何かの想いを持って顔を上げます。

その先に見えた澄んだ青空は、
次の文章を読む前に
あなたが先にサユリとして見るのです。

地の文は淡々と読むのではなく、
自分で読んだ文章に自分で影響を受けて
読み進めます。

それが地の文における
「相手のセリフを聞け!」ということです。

常に地の文では、
自分で自分に影響を与え続けていくことが
大切なのです。

読む→リアクション→読む→リアクション
という流れですね。

もちろん読みながらリアクションすることも
ありますし、
一文ずつすべてリアクションが
必要かというと、そういう訳ではありません。

しかし気持ちの流れが書かれている部分は、
たとえそれが情景描写であったとしても、
その文章を読みながら
何かを感じると思うのです。

ですからその時その時で、
自然にいろいろな登場人物の気持ちで読む
ことになります。

この例の場合はサユリになって顔を上げ、
空を見てください。

そうするとこの短い文章の中で、
サユリの想いも、その目に見えた青空も、
青空を見てサユリがどう思ったのか
伝えることができるのです。

顔の上げ方に変化をつける

基本的な顔の上げ方

動きについてもお伝えします。

基本的に小説劇では
お客さまに言葉を渡すために、
良いタイミングで顔を上げます。

これは文末が基本なのですが、
毎回同じだとちょっと機械的な感じが
してしまいます。

そのため、文末でも下げたままにして
文頭で上げたり、
全く上げずに読み進めたりという動きを
織り交ぜながら読み進めます。

顔を上げなくてもいい作品

しかし作品によっては、
誰かに話しているというよりは
自分自身に話しているという作品もあります。

そういう場合は、無理に顔をお客さまに
向けることを意識する必要はありません。

ただそうは言ってもずっと台本を見ている、
ということではなく、
お客さまを見ずに台本から目を離す
というタイミングを作れると、
とても効果的です。

具体的には、
台本とお客さまの顔の中間の位置
見ることです。

またそういう話であってもどこかで
お客さまをひしと見ることは、
とても大きなインパクトを与えるので、
うまく取り入れたいところです。

このように、ただ顔を上げればいいと
いうことではなく、
流れに沿って自然にお客さまに文章を
お渡しすることが大切です。

まとめ

今回は小説劇における、
地の文の読み方のポイントについて
お話してきました。

お客さまに観ていただくことを意識すると、
やはり芝居の要素を取り入れることが
必要になります。

今から芝居の勉強を
ゼロからする必要はありませんが、
一日だけのワークショップなどがあったら
ぜひ参加してみてください。

今後は
小説劇に必要な芝居の要素
お伝えしていきますので、
興味がある方はご覧ください。

地の文が自在に読めるようになると、
朗読が本当に楽しくなります。

今日お伝えした意識で読むだけで
伝わり方が全く変わってきますので、
ぜひお試しください!

コメント

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