朗読でセリフを読む時「その人物の体を探す」ことが大切な理由

Mido Labo vol.10「緋色の記憶」日下圭介

こんにちは!
「小説を演じる小説劇研究所」
S-Rラボ 松井みどりです。

今回はセリフを読む時に
「その人物の体を探す」ことが
大切な理由
をお伝えします。

「その人物の体を探す」とは?

その人物の特性を表す

そもそも
「その人物の体を探す」
という考え方は
芝居から来ています。

芝居では
自分が演じる人物には
どんな体の特徴があるか

考えます。

例えば血気盛んな若者であれば
胸を張って少し前のめりだったり、
内気な女の子なら
猫背で下を向き加減だったり、
という具合です。

その瞬間の状況を表す

体の変化は
そのキャラクターの特性を表すだけでは
ありません。

血気盛んな若者でも、
何かに驚いた時には
素早く肩を上げて縮こまるでしょう。

内気な女の子でも
意を決して何かをいう時には
上を向き、胸を張るでしょう。

その瞬間にその人物が感じている
感情を、
体でも表現するのです。

小説劇での使い方

「体を探す」ことが必要な理由

小説劇で
「その人物の体を探す」
ことが必要な理由は
セリフのやり取りが
とても自然になり、
お客さまがイメージしやすくなるからです。

小説劇の場合は芝居と違って、
ひとりで全ての人物を
表現します。

そのため体が固まり、
声だけで表現しようと考えがちです。

しかしリアルな感じで、
お客さまにイメージしてもらいやすく
セリフを言うためには、
体を楽にして
その時々の人物の体を
表現していくことが大切なのです。

では具体的には
どうしたら良いのでしょう?

まずはデフォルトの体を決める

まずはそれぞれの登場人物の
基本的な体の状態を決めます。

年齢

年齢で言うと一般的には
年配者はやや体を丸めた感じ。
若者は胸を張り、姿勢を良く。
子どもは、体としては
若者と同じでいいでしょう。

若者でもゆるっとした若者
の場合には、
猫背にして体を揺らしてみるのも
良いと思います。

男女

男女で言うと、
男性は胸を張って力強く。
女性は力を抜いて柔らかく。

もちろん女性でも
活発な人は胸を張っているでしょうし、
男性でも弱々しい人なら
おどおどした感じを出しましょう。

性格

明るい人、前向きな人
胸を張ります。

不安な人、自信がない人
猫背で表します。

特に体の状態に表れない性格の場合は
ニュートラルな状態でOKです。

その時の状況に合わせる

基本の体が決まったら
今度はその人が生きていく上で
気持ちが変化するのと合わせて
体を変えていきます。

人を説得する時
前のめり気味に。

説教されている時
後ろに引きたくなりますね。

嬉しい時はやや前のめりで
体が揺れるかもしれません。

悲しい時やがっかりした時
ため息をつくような体になるでしょう。

実際そういう状況になった時に
自分の体がどうなるか
考えてみましょう。

体を探す時のポイント

体の動きに注意を向けましょう

芝居の基本は
ある感情や状況をいつでも再現できる
ということだと思います。

芝居自体は、普段皆さんもしていますよね。

つまらない上司のシャレに
愛想笑いをしたり、
ものすごく怖くても彼女の前では
平静を装ってみたり。

「芝居」というと
特殊な能力を持った人にしか
できないと思う方もいらっしゃる
と思いますが、
人間なら誰でもやったことがあるはずです。

ただその気持ちや体の状態を
いつでも再現できるというのは
とても難しいことで、
それが役者に求められるものです。

そこまでいかなくても
常に自分の状態を観察し、
体の動きに注意を向ける
ことは
とても重要です。

バランスが重要

ひとりを演じるのではなく、
体をどんどん変えていかなければならない
小説劇では、
気持ちや体をどんどん変化させていくことが
必要です。

しかし芝居でいう演技がすべて必要!
というわけではありませんし、
ひとりでやる以上
完璧にする必要はありません。

すべてはバランスです。

芝居と朗読の間にある
ちょうどよいバランスを
ぜひつかんでいただきたいと思います。

まずは動いてみましょう!

具体的な小説劇での
体の表現としては…

・胸を張る

・猫背になる

・上を向く

・下を向く

…このくらいだと思います。
そんなに数は多くありません。

しかし自然に体を入れ替え、
セリフと連動させて動くには
少し稽古が必要です。

最初はやや
ぎこちないかもしれませんが、
まずは動いてみましょう。

胸を張ると自然に
声が前に飛ぶようになるので、
自信を持って読めるようになります。

猫背になると自然に
声が小さくなるので
自信のない人として読めるようになります。

初めは小さくて構いません。
ぜひ試してみてください。

まとめ

今回は「その人物の体を探す」ことが
大切な理由についてお話ししました。

芝居ではよく
「気持ちで動け」と言われます。

その人の気持ちを理解していれば
自然にその人として動けるはずだ

という考え方です。

それでうまく出来る人は
その考え方でいいと思います。
正攻法です。

しかし朗読だけをしていて、
体を動かす表現を
してこなかった方

いらっしゃると思います。

そういう場合はぜひ
「その人物の体を探す」ことをやり、
その時々の体を決めて
動いてみてください。

気持ちからではなく
動きから入るのです。

体と声は連動しています。

体が変わると声の出方が変わり、
表現が変わってきます。

ですから動きを先に意識すると、
それがだんだん気持ちにも作用して
最終的に印象的なセリフが言える
ということも起こります。

特に体を使った表現を
あまりしてこなかったという方は、
ぜひお試しください!

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S-R Labo主宰
松井 みどり

元フジテレビアナウンサー。退社後はナレーターとして活動する一方、舞台活動もスタートし、芝居、朗読、朗読劇などの舞台に年に10本ほど参加。2014年より教える仕事も続けている。

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