お試しあれ!俳優さんに舞台朗読をおススメする5つの理由

こんにちは。
声と体で小説の世界を
生き生きと表現する舞台朗読研究所
S-R Labo 松井みどりです。

今回は「俳優さんに舞台朗読を
おススメする5つの理由」
について
お話します。

演劇と朗読の違い

演劇朗読は、
同じ部分もありますが
違う部分もあります。

ここでは違う部分
整理してみましょう。

関わる人数

朗読は、朗読劇以外では
基本的にひとりで行います。

登場人物同士の会話
ひとりで行うことになります。

対する演劇の場合、
ひとり芝居以外は複数人
役を決めて行うことが
一般的です。

通常はひとりひと役で、
いろいろな人間を演じることは
ありません。

「地の文」のありなし

朗読には「地の文」があり、
場面や心理を状態を
言葉で説明します。

作家さんの個性が大きく現れるので、
朗読にとってはここをどう読むかに
その人の表現力が現れます。

一方の演劇には
「ト書き」と呼ばれるものがあり、
同じく場面や心理を説明しますが、

通常の演劇では
動きやセットとして表現され、
そのまま読まれることは
ありません。

「動き」のありなし

朗読では大きな動きはない
ことが一般的です。

椅子に座ったまま動ける範囲、
または立って動いても
本を持っていることが多いため、
通常リアルな動きはしません。

演劇は普通に動くことを
想定して作られているので、
空間を自由に使って
演じる
ことができます。

俳優さんに舞台朗読をおススメする理由

それでは、具体的に
俳優さんに舞台朗読を
おススメする理由を
5つお話します。

物語全体を意識する客観性が身につく

ひとつの役をもらい、
その役として物語の中で
どうしたら生き生きと
生きられるのか。

その方法を考えるのが
演劇の大きな楽しさであり、
難しさでもあります。

しかし役からばかり考えると、
全体の物語の中で
その人物が果たす役割

考える意識が希薄になります。

物語の中で自分が演じる役が、
どのように見えたら
面白いのか。

あるいは魅力的なのか。

物語を客観的にとらえ、
全体の中でその人物が果たす
役割をきちんと捉える
ことが
大切です。

朗読は文字を追いかけながら
表現する
手法をとります。

「文字を追う」「文字を読む」
という行為は、
とても客観的な行為です。

ですから言葉ときちんと向き合い、
その内容を理解した上で

その場面や人物を表現する
必要があるわけです。

どうしても
「どのようにセリフを言うか」
というところに注目しがちな方には、

舞台朗読で
客観性を身につけること
おススメします。

セリフの言い回しのバリエーションが増える

「セリフはその人物の
気持ちになって言うものだ!」

ということについては
異論のないところです。

本当にその通りです。
それが王道です。

気持ちから考えて
うまくそれを表現できるのなら
それに越したことはありません。

しかしこの記事を
読んでくださっている方の中には、

「自分ではその人物の気持ちになって
セリフを言っているつもりなのに、
そう聞こえないと言われる…」

という方もいらっしゃると
思います。

そういう方には舞台朗読で
様々なセリフの言い回し
学ぶことをおススメします。

長く俳優をしてきた方や、
音楽、ダンスなど
他の表現活動をしてきた方は、

気持ちから考えた方が
しっくりすることが多いです。

手法は違っても、
すでに表現活動で気持ちを表現する
方法の蓄積があるからです。

しかし演劇を始めて間もなく、
これまでに表現活動をしてこなかった
という方は、

単純に、自分の中に
表現方法の蓄積が少ないため、
から入った方が良い場合があります。

舞台朗読では、いろいろな文章を使って
様々な表現方法を学びます。

それはとても具体的です。

「この音よりこの音を高く」
「この間はブレスをしないで」
「もっとゆっくり」
「ここはテンポを変えて」

など、具体的なポイントをお伝えして
読んでもらうので、
気持ちをうまく表せなくても
そんな風に聞こえるようになります。

「それじゃ、心から言っていることに
ならないんじゃないの?」

と思われる方もいるでしょう。

確かに音の高低、間の長さや
緩急などに注意を払っている段階
では
心から言っているようには
聞こえません。

でも何度も繰り返し練習し、
意識しなくても勝手に
自然な抑揚がつくようになった時、

「あれ?私、今、自然に言ってた?」
という瞬間が現れます。

いわゆるから入って
それを繰り返すことで
気持ちへとたどり着くのです。

気持ちから入っても、
形から入っても、
目指すところは同じです。

時間があればじっくりと気持ちを考え、
それをどう表現するかについて
試していくのはとても良いことです。

でも早く結果が出したければ、
形から入るのはひとつの良い方法だと
私は思っています。

動きに頼らない表現ができる

演劇では動き
とても大切な要素です。

そのシーンや役に合った動きが
どれくらい自然にできるかは、
大きなポイントになります。

朗読にはその動きがありません。

正確に言うと、
演劇ほど大きな動きがありません。

その分、お客さまに伝えるためには
表現を工夫することが大切です。

例えば
「ケンはジョーの顔を見るや否や
顔色を変えてキッチンへ行き、
ナイフを手に戻ってきた」

なんていう物騒な一文。

これが演劇のト書きなら、
なぜそういう行動をするのか
理解した上で、
その通りに動くということになります。

これが朗読だと、実際に動けないので
息遣いや体勢、言葉の緩急を使い、
地の文で緊迫感を表現します。

目指すところは同じなのですが、
大きく動けない分、
その他のところで表現することが
できるようになります。

こうやって表現できる幅を
どんどん広げていく
ことができるのです。

人の目を惹きつけた中で演じる経験ができる

演劇は複数人で稽古をしながら
物語を作っていきます。

主人公や重要人物には
「見せ場」があり、
お客さまに注目された中
演じることができます。

演者にとって、
この経験はとても重要だと
私は思っています。

別に小さな役が良くない、
と言っているわけではありません。

演者として人前に立つ以上、
腹をくくって
みんなの目を自分に集中させた上で
演じる勇気
が必要です。

そういう経験は、たくさんの人と
一緒に作り上げる演劇では、
限られた人しか経験できないことが
多いのです。

しかし舞台朗読では
すべてをひとりで行います。

舞台上でどうやってお客さまの目を
惹きつけるか。

どう表現したらお客さまに
その場面をイメージしていただくことが
できるか。

たったひとりで場の空気を変えながら
お客さまとやり取りをし、
物語を伝えていく…。

これは演技のひとつの
大きなポイントであり、
それを舞台朗読を学ぶことで
身につけることができる
のです。

想像力を磨くことができる

セリフは結果です。

セリフを言う時にはその裏に
どんな気持ちがあるのかを想像することが
絶対的に必要です。

またいかにセットが組まれていても、
例えば窓から見える景色まで
リアルに作り込むことはできません。

そこにどんな景色が広がっているのか。

その景色はその人物にとって
どんな意味を持つもので、
その結果どんな風に気持ちが動くのか。

これはすべて想像力がないと
上手く表現することができません。

朗読は、想像力をフル活用して楽しむ
知的エンターテインメントです。

ですから、朗読を学ぶことで
想像力が格段に養われます。

自分のイメージをどうやったら
言葉に乗せることができるのか。

ここをぜひ掴んでいただきたいなと
思っています。

まとめ

今回は「俳優さんに舞台朗読を
おススメする5つの理由」
について
お話しました。

もうひとつだけポイントをあげると、
演劇は一緒に作る仲間がいないと
できませんが、
朗読はひとりでできます。

ですから、出演舞台が決まっている時は
その稽古をし、そうでない時には
舞台朗読を学ぶ
ということも
できるわけです。

演劇には個性がぶつかった時に
化学反応が起き、
新しいものが生まれるという
大きな魅力があります。

そのような反応を生み出すために、
舞台のない時には舞台朗読を学んで
自分の引き出しを増やすのは、
次の舞台に向けた良い準備です。

演劇と朗読を両方学ぶことで、
相乗効果で大きくプラスになるはずだと
私は思っています。

私の経験則では、
「素敵な俳優さんは
朗読も抜群に素晴らしい」
のです!

俳優さんはぜひ朗読を学んで、
ご自分の演技に生かしてください。

S-R Labo主宰
松井 みどり

元フジテレビアナウンサー。退社後はナレーターとして活動する一方、舞台活動もスタートし、芝居、朗読、朗読劇などの舞台に年に10本ほど参加。2014年より教える仕事も続けている。

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