こんにちは!
「小説を演じる小説劇研究所」
S-Rラボ 松井みどりです。
さて、小説劇をやりましょう!
となった時に、まず考えるのが
「何を読むか」ということです。
その時に理解しておかなければいけないのが
「著作権」についてです。
わかっているようでわかっていない…
実際の運用も難しいところがあります。
今回は、舞台朗読をする時に知っておきたい
「著作権」についてお伝えします。
まず初めに理解しておきたいこと
まずは、どのような形でも
自分で書いたオリジナルではなく、
人が書いたものを読む時には、
「作者に著作権がある」
ということを忘れないでください。
これは、あなたがプロでもアマチュアでも
関係ありません。
ですから、基本的には
「私たちは作品をお借りして読んでいる」
ということになるのです。
例外的に認められているのは、
家で子どもに読み聞かせをする場合や
自分個人で楽しみのために読む場合
くらいです。
厳密に言えば、
朗読教室の発表会でも
好きな作品を勝手に読むことは出来ません。
ましてやYouTubeで不特定多数の方に
観ていただく時に、
作者の了解を取らずに読むことは
できないのです。
まず初めに、そこを理解しましょう。
著作権とは
著作権(ちょさくけん、英語: copyright、コピーライト)は、作品を創作した者が有する権利であり、また、作品がどう使われるか決めることができる権利である。作者の思想や感情が表現された文芸・学術・美術・音楽などを著作物といい、創作した者を著作者という。知的財産権の一種。
ウィキペディアより
要するに
「誰を真似したものではなく
自分で作品を創り出した人が持つ権利」
であり、さらに
「作品がどう使われるかを
決めることができる権利」
ということなんですね。
著作権はいろいろなものに発生します。
文学の場合は、
作者に
あなたがその作品を読んでもいいかどうか、
決める権利がある
ということです。
著作権があるものを読みたい場合
えっ?それじゃ、私が読んで感動した本を読むことはできないの?
そんなことはありません。
正規の手続きを取れば、読むことはできます。
許諾の申請先を調べる
作者に「読んでいいですよ」という
許可を取ることを
「許諾を取る」と言います。
まずは、許諾を取るための連絡先を
調べます。
申請先が「日本文藝家協会」の場合
最初にその作家が「日本文藝家協会」に
著作権使用委託をしているかどうか
調べましょう。
日本文藝家協会のHPの
「著作物使用申し込み」ページに
「委託者一覧」というファイルがあるので、
そこに、読みたい本の作者が載っているか
どうかを調べます。
載っていた場合は許諾申請先が
日本文芸家協会になりますので、
HPの指示に従って書類を作って
申請します。
HPから必要事項を書き込んだものを
プリントアウトして
郵送する必要がありますので、
早めに申請しましょう。
郵送してから1~2週間で連絡がきます。
許諾を無事にいただけた場合は、その後
その本を発行している出版社に
その旨を伝えます。
場合によっては、
出版社から使用の際の条件
(チラシに企画協力として
出版者の名前を入れてほしい、など)
を提示される場合もあります。
申請先が出版社の場合
日本文藝家協会の委託者リストに
名前がなかった場合、
連絡先はその本を発行した
出版社になります。
出版社によって連絡方法は
メール、FAXなど様々です。
まずはHPから著作物使用についての
連絡先部署を調べ、
そこに連絡してください。
出版社によりだいぶ対応が異なります。
1週間しても連絡がなかった場合は、
こちらから連絡した方がいいと思います。
FAXが迷子になっていた…などということも
ありますので。
連絡がついたら、
担当の方とメールか電話でやり取りし、
作者の方に連絡を取っていただきます。
担当の方から
その作家さんの担当者に連絡し、
ようやくご本人に確認していただく…
という流れですので、
やはり時間に余裕を見ておきましょう。
大体は1~2週間で連絡をいただけますが、
最長3か月かかったこともありました。
なかなか催促しにくいので、
とにかく早めに連絡しましょう。
作者に直接許諾申請する場合
ごくまれに、作者や作者の所属事務所に
直接連絡を取る場合もあります。
どういう方の場合そうなるのかは
こちらからはわかりませんので、
まずは出版社に問い合わせましょう。
許諾料をお支払いする
無事に許諾をいただくことができたら、
次に許諾料をお支払いします。
許諾をいただくことと、
許諾料をお支払いすることは
セットと考えましょう。
日本文藝家協会を通す場合も
出版社を通す場合も、
公演の規模、回数、料金などによって
決められた金額を振り込みます。
この金額は団体、出版社によって
異なりますし、
作者の意向も反映されますので
一概にいくらくらい、ということは
言えません。
よほど大きな公演でなければ、
1~10万円程度だと思います。
例えば何かの
チャリティイベントだった場合などは
事情を話せば
考慮してくれる場合もありますので、
申請する際に
伝えてみるのも良いと思います。
自由に読める「青空文庫」収蔵作品
いや~時間かかるし、大変そう!
著作権に関係なく自由に読めるものはないの?
あります!
著作権があるということは、著作権が切れた作品も
あるということなんですよ。
最近まで著作権は死後50年でしたが、
現在は70年に延長されています。
それでも過去の作品は膨大にありますので、
それならいくらでも
自由に読むことができます!
著作権が切れた作品をファイルの形で
誰でも自由に
使えるようにしてくれているのが
「青空文庫」です。
HP内の「そらもよう」という掲示板には
2020年7月7日という日付で、
配信での朗読を考えている方に向けての
メッセージが掲載されています。
とても有益な情報が載っているので、
一読されることをお勧めします。
もちろん、青空文庫には
著作権が切れた作品のすべてが
載っているわけではありません。
ボランティアの方が、時間をかけて
膨大な作品を少しずつ
ファイルの形にしてくださっています。
もし著作権が切れている方の
青空文庫に載っていない作品が
読みたい場合は、
コピーしたり、
ご自分でファイル化したりすれば
読むことができます。
ちなみに、私は俳優である夫と一緒に
「菊池家リビングシアター」という
YouTubeチャンネルを作っています。
青空文庫収蔵作品を
毎週ご紹介していますので、
どんな作品がいいか迷ったら、
ぜひご覧ください!
実際の運用について
公演の場合
有料公演を行う場合、
許諾の申請は必須です。
公演はお客さまから
お金をいただいて行うもの。
大小にかかわらず利益が発生しますから、
作品を貸していただいたことに対する料金は
きちんとお支払いしましょう。
無料の発表会の場合
無料の発表会の場合は、微妙ですね。
そもそも料金がが発生しませんし、
お客さまも10~20人程度の
小規模のことが多いからです。
厳密に言えば
お支払いすべきなのでしょうが、
無料なら構いませんというスタンスの
出版社、作家さんもいらっしゃいます。
会場の広さ、お客さまの数なども違うので
それぞれの判断になりますが、
心配な場合は、
申請しておいてはいかがでしょう。
無料でやっていただいていいですよ、
と言われれば安心できますね。
レッスンで使用する場合
レッスンで使用するテキストについても
微妙なところですね。
音楽の使用許諾を管理するJASRACは
数年前から音楽教室で使用する楽曲料も
徴収するようになりました。
音楽教室ではお金が発生するからだと
思いますが、
この流れは朗読のレッスンをする私たちも
無縁ではありません。
私はレッスンで使用するテキストについては
基本的には著作権が切れたものを
使用しています。
この流れは音楽だけではないと思いますし、
やはり作者の方への敬意は
払いたいと思うからです。
配信をする場合
最近問題になっているのが
朗読をYouTubeなどで配信する場合です。
確かにお金は発生しないことが
多いと思いますが、
不特定多数の方に
観ていただくことになるので、
ここには著作権が発生すると、
私は思います。
少なくとも作者の許諾は必要だと思います。
自分が書いたものを知らない人が
勝手に伝えている…という状況は、
作者の方に失礼だと思うからです。
多くの方が
自分の好きな作品を朗読で伝えたい!
と思い、それが簡単にできることは
本当に素晴らしいと思います。
でもそれができるのは、
素晴らしい作品を書いてくださった
作家さんがいるからだ!という視点を
忘れず持ち続けたいと思います。
まとめ
今回は著作権についてまとめてみましたが、
いかがでしたでしょうか?
基本的には、
許諾をいただいて許諾料をお支払いすれば
どんな作品でも読むことができます。
無料で読みたい場合は、
青空文庫などから
著作権の切れた作品を選びましょう。
私は作品をゼロから作り上げる
「作家」の皆さんを、
心から尊敬しています。
だって文字でこんなに人を感動させるって、
すごいことですよね!
朗読作品は
「作者の方に作品をお借りしている」という
意識を持っていれば、
いろいろなことに対応できると思います。
ぜひ作品を大切にしながら、
朗読を楽しみましょう!
コメント
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